本日は短めに。
最近何かとビジネス書で話題の習慣化についてです。
そもそも習慣化は無理?
『良い習慣を身につけること』
これは、自己啓発、時間術、仕事術などのノウハウ本では、頻繁に語られている、いわゆる成功法則の一つです。
あなたも、これまで読まれた本の中で、目にしたことがあるはず。
言われてみてはごもっともなこの言葉ですが、他の数多の成功法則と同様、実践するとなるとなかなか難しいものですよね。
そもそも人の脳は何か新しいことを学習しても、わずか1時間後にはその内容の半分が記憶から失われてしまう生き物。
(『エビングハウスの忘却曲線』と言われるやつです。)
さらに、脳は苦痛を避け、快楽を求める性質があると言われています。
要するに、
学習したことをすぐに忘れるばかりか、嫌なことから逃げて快楽に溺れる
どうもこれが疑いようのない私たちの脳の性質のようです。
以前、とある成功している経営者の方の講演を聞きに行った時のこと、
その経営者の方は、自らのビジネスがなぜうまく行ったのか、具体的な経験談や事例を挙げて熱心に話される方でした。
それもあってか、講演の最後の質疑応答の時のことです。
『そんなにオープンにノウハウや事例を話して、
ノウハウを盗まれたらどうしようとか、心配はないのですか?』
と質問が出たのです。
すると、その経営者の方は、笑いながらこう答えられました。
『その心配はないと思っています。
なぜなら、今日この会場で私の話を聞いて、実際に行動を起こす方は全体の10%くらいでしょうから。
さらに、その行動を続けられる人はそのうちの10%。
つまり、この会場にいる人のうち、実際に成果を出せる人はおそらく1%くらいしかいないと思います。』
その時の会場で講演を聞いていた人の大半は、
『いくらなんでも、1%ってそれは少なすぎるんじゃない?』
という反応でした。
もちろん、私もそう思いましたし、その質問をされた方も苦笑いするしかない、といった感じでした。
ただ、あれから10年ほど立って、今思えば、まさにあの経営者の方の話は的を得ていたように思うのです。
それほどまでに、行動すること、ましてやその行動を習慣化するのは、
人の脳にとって大変に難しいことだと感じます。
特に、常日頃やるべきことに追われているビジネスパーソンには、
より荷が重いと言えるでしょう。
では、どうすれば脳の性質に逆らって、
良い習慣を身につけて悪い習慣を断つことが可能になるのでしょうか?
その第一歩として、まずは”やるべきことを減らす”ことが大切、
だと私は考えています。
人の脳のエネルギーには限りがある
「ウィルパワー」という言葉をご存知の人もいると思います。
ウィルパワーとは、つまり意志力のこと。
近年、アメリカの心理学の研究では、
このウィルパワーがあって初めて、人は自らの思考や感情の力をコントロールすることができると言われています。
ウィルパワーの詳しい内容については、ここでは触れませんが、
重要なのは、1日に発揮できるウィルパワーの量には限りがあるという点です。
もしあなたが仕事で疲れて帰ってきて、資格を取るための勉強をしようとしても全然手につかないのは、
肉体的な疲労はもちろんこと、このウィルパワーが不足していることもその主な原因と言えます。
つまり、何かをやるということは、
そのために必要なウィルパワーを確保することがまず先決
と言えるでしょう。
そうなると、やるべきことを”増やす”よりも、
“減らす”思考がより重要なことに気づきます。
1日24時間の時間が有限なように、人間のウィルパワーもまた有限なのです。
世に多くある時間術や仕事術は、効率的に目の前の仕事を処理することで短時間にアウトプットを増やすことを目指しがち。
ただし、効率を高めようとして、やるべきことを増やし、アウトプットが増えたとしても、
もし、それがその人の持つウィルパワーのキャパを超えていたとしたら…
同じことを毎日繰り返すのは無理があるでしょう。
それよりも、まずはやらなくてもいいことは、やらない。
そうやって、空き時間をなるべく多く作り、その時間に普段やらなかった良い習慣を行うこと。
これこそが、良い習慣を定着させる第一ステップだと言えます。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
念のため今回の内容を整理しておきます。
・そもそも人の脳は習慣化に向いてはいない
・1日の脳のエネルギー(ウィルパワー)には限界がある
・やることを増やすのではなく、減らしてから習慣化したい行動を始める
それでは、今日も良い1日を!